中国人民大学経済学院との交流事業(異文化交流II)に関する報告

2012年12月15日

島根大学法文学部では中国人民大学経済学院と毎年、学生交流事業を行っている。毎年相互に行き来しており、今年は島根大学の学生が中国人民大学に訪問し討論会を行い、現地調査を行った。正味3日の滞在で討論会や現地調査をこなすハードスケジュールであったが、無事終えることができた。ちなみに昨年は中国人民大学の学生が島根大学に来て県内の農村を合同で調査しており、来年も同様の取り組みを行う予定である。

現地ではおもに、学生討論会と現地調査を行った。中国人民大学での学生討論会では、中国人民大学の学生から、中国で現在力を入れて取り組まれている学生村官制度(大学卒業生が、全国各地の村に村長補佐として12年滞在し、専門知識を活かして村の活性化に貢献するという制度)についての報告があった。日本側からは、日本の農村の状況とともに、島根大学の学生が農村活性化のために取り組んでいる活動(農作業のお手伝いや流通販売のためのNPO活動など)について報告された。

また現地調査では、北京郊外の村で実際の学生村官経験者(現在は地方公務員として採用されている)の話を聞き、実態を知ることができた。この調査結果は、学生たちのレポートをもとにして来年3月の学内紀要に掲載する予定である。

交流事業の実施からかなりの時間が経ってしまったが、学生の感想といくつかの写真から、本交流事業の成果について報告したい。

(島根大学法文学部 関 耕平)

安達司(法経学科3年次)

今回の異文化交流に参加し、人民大学の学生と交流してみて学生としての質の違いを痛感しました。お互いの国の農業の現状をプレゼン形式で発表したが、自分が行ったプレゼンに比べて人民大学の学生が行ったプレゼンはとても質が高く、発表も英語で行っていて感心させられました。また、人民大学の学生との食事会で交流したときもあちらの学生はとても英語が流暢で自分ももっと英語が喋れるようになりたいと思いました。

今回の異文化交流は中国の文化に触れることが出来ただけでなく、自らの意識改革にもつながるものであり、とても有意義なものでした。

瀧野信一(法経学科3年次)

今年の夏休みは、研修として中国・北京に行き中国人民大学を訪問したり、農村見学などをしました。この中国研修を通して、中国人学生との交流や中国の料理、文化、風習など外国の異文化に触れあえる貴重な体験を経験するとともに、農村の現状や課題について理解を深めることができました。

自身12年ぶりの海外となる中国の5日間は、毎日がとても新鮮で大いなる刺激となりました。日本の日常とは違う街並みを歩き、異文化に触れることで、普段私が生きている日本が世界の常識では全くないのだと実感し、視野が広がった気がしました。中国人学生との交流では、能力の高さに愕然とし、自分たちはこのままでいいのだろうかと危機感を抱きました。これからの日本を背負う私たち若者は、もっと高い意識と責任感を持たないといけないと強く思いました。

そして、私の班は農村の販路について調べて人民大学で発表したのですが、その調査を通して日本の農村が直面する販路の問題について学ぶことができました。日本の農村はこのままいくと、衰退の一途をたどるのが確実ですが、中国では「村官」制度により、多くの有能な若者が農村に出て、活性化に貢献していることを知り驚きました。日中の政治体制の違いもあり、政策の柔軟性の違いに差が出るのは考慮しないといけませんが、少なくとも中国が農村の問題(三農問題)に対して強い危機感を抱いて対策を講じていることは分かりました。日本も見習って、しっかりと農村の問題に向き合っていかなければいけないと思いました。

為房政貴(法経学科3年次)

日本は社会変化(三位一体改革・地方分権・人口減少etc)により、過疎・限界集落地域内部では生活困難、移動困難などさまざまな問題が生じ始めている。そして学生が地域に出て何ができるのかが問われている。

日本の学生は地域に出て祭りの手伝い・農林漁業などと言った活動をしながら、地域住民と仲良くなり、地域の特色や問題点を知る。また地域の人・企業・行政・NPOなどともに連携しながら地域貢献に繋がる活動もしている。学生の中には、学校を休学してまで地域貢献をする学生もいる。地域に定住・定着し今後の地域課題に地域の方と真剣に考えながら活動をしている。

中国で、人民大学生との交流に参加し、日本ももっと頑張るべきだと思った。それは、学生が政府で行われている試験に合格し、政府からの委託によって町の町長になり、町を発展させている学生村官制度を知ったからである。中国の学生は日本の学生よりも広域な地域で、地域貢献していることに驚いた。しかも、短期的ではなく長期間泊り込みで活動をしていることだった。日本の場合は、災害時の時では、長期的なボランティアをしているが、学生が地域にボランティアに行くとしても一日または二日が多い。

学生は地域に出てボランティアをするだけで、学生らしいノウハウや知識を地域住民に教えながら、地域に根ざしたまちづくりを住民と共にするべきである。したがって、現状の日本では中国と比べ、地域に密着しているとは言えない。

また、中国政府は地域で活躍する学生村官をちほう公務員として採用しているため、地域のこと、住民のことを考えた政策をしている。一方、日本の場合は学力がなければ行政に携われない。地域のことを考えていない人でも採用されている。だから地域が潤わないのかと思った。

最近日本では、NPO・行政が地域に定住・定着させるような仕掛けをしている。そのため、以前よりは若者が地域に入っているが、まだまだ課題は多い。もっと若者が地域に密着する方法を考えなければならない。例えば、中山間地域の農家から安く農業機械を借り上げて、農業に興味のある学生に貸し出すといった活動も考えられる。

また、村官制度の調査で村官の活動の様々な面を見ることができた。日本のように義務教育が行き届いておらず、子供が成人になって就活をしようとしても社会的な常識が欠けていることがある。そこで、大学生が地域の子どもたちに勉強を教えている。また、大学生のノウハウを農家に提供することで、農家の収入が向上している。このように、大学生が中心に地域を支えていると言っても過言ではない。

今後日本において地域再生を実現するためには、行政・NPO・企業・住民に加えて学生が情報交換し、リーダーを養成し、活動していくことが求められるだろう。

小川達也(法経学科3回生)

私が、今回の訪中で印象に残っていることは中国の学生の方たちのレベルがとても高かったこと、そしてとても親切であったということです。中国の学生の方たちはプレゼンテーションの技術や語学能力などあらゆる面で私を上回っていて、そのような学生の方たちと接することで自分も良い刺激を受けることができました。また、会話をする際にも積極的に話しかけてくれたこと、私の拙い英語を一生懸命聞き取ろうとしてくれたことに親切心を感じるとともに、自分の語学力の無さを痛感させられました。今回の訪中は海外の文化に直接触れることで、自分の視野を広げる良いきっかけとなり、意義あるものになりました。

芝木達也(法経学科4年次)

私にとって人民大学との交流は、人民大学の学生との1年ぶりの再開となりました。みなさん研修や勉強等大変忙しいなか、観光や買い物に付き合ってくれました。また、ホテルにまで足を運んでいただき、お互いの将来のことや、日本や中国のことなど朝まで話しました。この交流プログラムは、私にかけがえのない友人を与えてくれました。近い将来、またみなさんと再開できることを祈っています。

田思宇(人文社会科学研究科1年)

私は通訳として関先生と学部生さんたちに一緒に人民大学を訪問した。自分は中国人でも、人民大学に行ったことはなかった。今回のチャンスは非常に嬉しかった。人民大学は中国の有名な総合大学だが、その多くの専門学部の中で、経済学部は一番有名である。今回の交流を通じて、とってもいい勉強になった。

私たちは日本の米を中心として、農産物の販売通路の拡大におけるの取り組みを発表した。時代の変化と経済の発展によって、農業を取り巻く環境の急激な変化があり、販路・消費者のニーズを考えなければならない。これまでの現状を踏まえて、学生たちは斬新な発想で現状を変革している。さらに地域・農村の活性化の効果も出ている。

一方で、今中国の経済発展が著しく、2008年北京オリンピック大会後、国際の舞台に出てきた。また、農村部のことが一番注目されている。

報告会のあと、最近、注目されている大学生村官の調査を行った。北京郊外の西柏店村である。その村は鎮十二五現代化都市の発展とともに、メタンガスの発電工場、有機飼料工場へ投資し、利益を上げている。政府政策支援もあったので、民間企業者はこの二つの工場に投資した。さらに、食用菊産業の拡大、文化遺産の修復、プラスチック・ハウスの中でミニ西瓜と食用菊花イベントなどのある農業ツーリズムが注目されている。実際に、その西柏店村も大学生村官政策を実施した村である。

いま、なぜ中国において大学生による村官制度があるのか、人民大学の学生との交流を通じて、以下の理由や有利な点が挙げられていた。まず、大学新卒生にとって、激しい就職活動を緩和する効果がある。第二に村官を経験した学生には、将来の地方公務員の採用に際して優先権が与えられ、学生にとっても有利になる。今の中国の国内で一番安定な職業は公務員である。社会地位も高くて、給料もよく、時間も余裕なので、半数以上の人はこれを目指している。一方で、公務員の採用試験が難しいので、こうした優先権は大きな意義がある。第三は、待遇が非常にいい。村官在職期間中、すべての住宅代と食料代が国からの支援金で賄うことができる。

しかし、村官は毎日、農民たちにコミュニティ・生活援助と農業技術の支援を行っており、仕事環境は甘くない。西柏店村は中央政府と大学村官の協力し、「十二五」の政策を行い、過去5年間で新農村を建設した。さらに寺や廟といった地域資源を管理し、九つの旅行項目と10個コミュニティプロジェクトを建設し、生態農業(環境保全型農業)村を実現しようと努力していた。

池田幸起(法経学科3年次)

私が今回の研修において最も印象に残ったことは、人と人との交流、対話の大切さである。百聞は一見に如かずという言葉があるが、本研修では、この言葉を実感することになった。中国を訪問するまでは、尖閣諸島をめぐる領土問題や反日デモの印象が強く、両国間の緊張が高まっていることもあり、私自身の中国に対する印象は決して良いものではなかった。しかし実際に現地に行き、同年代の中国人民大学の学生との交流を経て、先入観が打ち砕かれた。中国の大学生は想像よりもはるかに意識が高く、ものごとに積極的であり、私たちから一つでも何かを吸収しようとする真剣な姿勢は、どれも見習わなければならない学生としての姿であった。言語が異なる者たちがお互いに、自分の考えを相手に伝えるために試行錯誤したことは、日本の日常生活では決して経験できないことであり、私のコミュニケーション能力の幅を広げてくれた貴重な経験であった。

また、現地調査で様々な場所に訪れた際には、人ごみとゴミが街中に溢れていることに日本とのキャップを感じ、圧倒された。同時に出会った人々の人間味に触れ、中国文化を理解し、中国をより深く知りたいという気持ちになった。さらに、人民大学の胡霞先生と合同で行った農村での調査では、日本のメディアでは得られない情報を聞くことができ、中国に対する意識も変わった。

最後に、今回の研修をカリキュラムの一貫として設けた島根大学と、日本での事前学習の段階から助力くださった関先生や通訳の労をとってくれた孫さん、田さんに感謝申し上げたい。学習を通じて自分に力がついたことをはっきり認識できる、日本についてまだまだ知らないことの多さに気づかされたことは、今後の私の学生生活にとって重要な経験となった。

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