学部長便り2011年5月号

学部長便り2011年5月号

2012年9月4日

5月号「春」と「キャンディーズ」

元キャンディーズのアイドルでもあった女優の田中好子さんがお亡くなりになりました。キャンディーズと言えば我々中高年にとっての青春の思い出であり、彼女の死に大きな衝撃を受けた人も少なからぬことと思われます。ニュースでは、葬儀に駆けつけたファンが涙を流しながら思い出を語る映像が映し出されていましたが、いい歳をした「おっさん」や「おばさん」が語る光景を見つつ、いかに青春期の体験が人生に重要であるか、日本ではアイドルを追っかけていた人達が高齢層に突入したのかなどと、いろいろ考えさせられました。かくいう私も例外ではなく、テレビと漫画にあけくれた子ども時代を持っているのであり、ティーンズの頃には頭の中にキャンディーズの曲が鳴り響いていたのです。

その頃よくラジオの深夜放送やテレビで耳にしたキャンディーズの曲は、その後キャンディーズが解散し「普通の女の子」に戻り、私も三十代四十代と年を重ねても、しばしば唐突に私の頭の中に流れ出すことがあったのです。「年下の男の子」であったり「やさしい悪魔」であったり、それはまさに「不意撃ち」のように、なぜその時その曲かという脈絡や理由を欠きつつ訪れます。

しかし唯一、自分でも単純な思考だなと納得できるのが、春先になると「春一番」を口ずさんでしまうことです。とりわけ島根に来てからは、この曲を鼻歌で歌うことが多くなりました。島根は冬が長く、本当に春が待ち遠しいからです。今年の島根は大雪にも見舞われ、さらに四月も天候不順の日々が続きました。桜も平年より遅く開花し、田に水がはられて田植えの準備が整いだすのも遅かったようです。だがようやく遅い春がやってきたようです。道ばたには野草がいっせいに花開き、カエルの声も盛んになってきました。昨日は深夜とぼとぼふらふらと歩いていると、楽山あたりでフクロウが鳴き交わしているのを耳にしました。それゆえ私は「春一番」を口ずさんでしまったのです。「もうすぐ春ですねえ、恋をしてみませんか」。いいなあキャンディーズ。