学部長便り2010年8月号

公開日 2012年09月03日

「西瓜食う学部長」の巻

 
夏真っ盛りですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。ついこの間、中国人留学生から次のような話を聞きました。人からスイカを貰って、包丁で切ってみたところ中が黄色だったので驚いてしまった。黄色いスイカを生まれて初めて見たとのことでした。実は、スイカと言えば本場は中国です。

私は10年ほど前、北京でひと夏過ごしたことがあるのですが、街中スイカで溢れていました。果物屋と言わず、道ばたのいたるところで「スイカ屋」がスイカを山積みしているのです。丸いスイカは少なく、瓜型のラグビーボールのようなものが主流です。私は中国農業大学の宿舎に滞在していたのですが、大学構内いたるところで学生たちが集まってスイカを食べていました。ゴミ箱はスイカの皮だらけです。かく言う私も毎日スイカを食べました。一日に3度食べる時もあり、それまでの人生で食べたスイカの総量を中国滞在1ヵ月で食べた感があります。私の好きな牧野信一というマイナーな作家が「西瓜食う人」という奇妙な短篇小説を書いているのですが、まさにあの夏は多くの「西瓜食う人」を目撃し、自らも「西瓜食う人」と化していました。

そう言えば、大学生協に売っているスイカバーは何度も食べたのですが、この夏まだ本物のスイカは1度しか食べていません。スイカは日本の夏の風物詩のように言われますが、日本に入ってきた歴史は意外に浅く、せいぜい中世末期つまり室町時代までさかのぼれる程度だとのことです。確かに、「源氏物語」などの平安文学では、瓜は出てくることがあっても、スイカが登場することはありません。そもそも「スイカ」という名前は中国語のなまったものであり、その意味で外国起源であることを純然と示しているのです。しかしそんな蘊蓄はどうでもよく、スイカはうまいのです。特に島根大学は、お隣の鳥取県がスイカの名産地なので、おいしいスイカを食する機会に恵まれていますね。鳥取県出身の学生の中には、実家でスイカを作っているものも多いのです。そういう学生は、大学に、いや学部長にスイカを持ってくるべきだと思いますよ。

話は変わって、島根大学松江キャンパスでは、今年も8月7日と8日の2日間、オープンキャンパスを開催します。2日間も行くのは暑いし面倒くさいという高校生の方は、法文学部のオープンキャンパスが開催される8月8日だけ来たらいいと思います。スイカは出しませんが、かき氷が食べられるらしいですよ。心からお持ちしております。