キャリアプランニング第2回 開講しました!

公開日 2020年06月02日

法文学部2年生向け専門教育科目「キャリアプランニング」は、第2回目の授業もオンデマンド形式で実施されました。今回の授業では、哲学を専門とする田中一馬先生が、「働くとはどういうことなのか?」というテーマで講義を行いました。


過去の人びとは、現代とはどこか異なるかたちで仕事を位置づけてきました。授業では、古代ギリシアの仕事観(ヘシオドスやアリストテレス)、近代の仕事観(プロテスタンティズムやアダム・スミスの労働価値説など)をみたうえで、「近・現代において仕事(人間の活動)の労働化が進行した」という考え方が紹介されました。もし私たちが人間のある行動を「仕事である」(あるいは「仕事ではない」)と考えているとすれば、その考えをもつに至った理由が、仕事観の歴史的変遷を学ぶことでみえてきます。また、現代の人びとは、「価値あるものや事態を生み出す身体的・精神的活動」を「仕事」と考える傾向がありますが、これは「仕事に貴賎なし」という意識の浸透を意味する一方で、肯定的にばかり評価できない側面もある、といいます。そうした考え方が私たちにとってどのような意味を持つのか、今後の自らの人生における仕事の位置づけ方とともに、ゆっくり考えてみてもよいのではないか、と最後に投げかけられました。

今回のオンデマンド授業では、4つに分けた音声ファイルとともに、スライドと資料がPDFファイルで提供されました。受講した学生は、田中先生の説明を音声で聴きながら、スライドや資料を確認していきました。

【受講した学生の感想】


・歴史を交えた講義、非常に興味深かったです。大学生はもちろん勉学も重要なことではありますが、その先の就職に向けて準備をする大切な期間であるとも感じています。まだ社会のことや未来のことがあまり見えていないものの、次第に迫る「仕事」や「働く」といった現実に不安を感じていました。そんな中で今回の授業では、過去から現代への仕事観の変容を考えることで、「仕事」に関してもう一度しっかりと向き合っていこうという意識が芽生えました。加えてこれがまだ大学2年生という比較的時間の余裕があるこの時期に聴けたのが非常に良かったです。コロナの影響で、「仕事」に関する考え方がまた少しは変わるかもしれませんが、自分なりの最適な答えが見つけられるように日頃の生活から意識していきたいと思いました。

・「働く」ことについてアリストテレスなどの哲学者の主張をもとにして考えたことはなかったのでとても面白いなと思いました。私は哲学の勉強も世界史の勉強もほとんどしたことがなかったのですが、様々な人物の「働く」ことに関する主張を分かりやすく説明していただき、初心者の私でも理解することが出来ました。ありがとうございました。

・経済学の講義でいくつか習った仕事観の話もありましたが古代ギリシアの仕事観の話は聞いたことがなく、歴史の流れの中で仕事に対しての見方がこんなにも大きく変わっていくものだと知ってとても面白かったです。歴史上沢山の仕事観がある中でどれが一番自分にとって正しいと思える仕事観といえるかはわかりませんが、これからの人生で仕事をどんな位置に位置付けていくかを考える際のヒントになると思いました。

 

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