学部紹介

学部長あいさつ

「法」と「文」のあわいから

浅田学部長写真

 大学にはさまざまな学部名称がありますが、「法文学部」というのは、いまやあまり聞き慣れない学部名かもしれません。島根大学法文学部は、歴史的には、島根大学発足時にあった文理学部という総合的な学部が、文系と理系に細分化したときに、文系学部の方を法文学部としました。したがって法文学部には、法学文学だけでなく、経済学社会学地理学文化人類学歴史学考古学言語学哲学芸術学文化交流論など、広汎な人文学・社会科学の諸分野が用意されています。

 島根大学法文学部では、これらの多様な専門分野から、自らの関心にしたがって専門を選び、それぞれ分野の基礎的な学修から、発展、応用的な問題発見と解決のプロセスの体験までを積み重ねることができます。教員もまた、自らの専門領域を深めるよう日々考えを巡らせています。

 一方で、我々は、さまざまな学問分野が単に集まっているというだけで、法文学部を名乗っているわけではありません。「あわい」という少し古めかしい、「間(あいだ)」に意味が似た言葉があります。「あわい」は「二つのものが、重なったり、相接して触れ合ったりしている場合の、両者の空間や互いに与えあう関係」(『日本国語大辞典』)を指す語であり、法文学部も、それぞれの専門分野からだけでなく、この広く、多様な、境界の定めにくい諸分野のあわい(重なり・取り合わせ)から、新しい価値を引きだそうとしています。

 たとえば法文学部では、地域社会の諸問題についてさまざまな立場から考えることを長い間続けています。またその成果を、『山陰研究ブックレット』として広く社会に問うてきました。地域社会の持続可能性、若者の流出、生きづらさ、地域の文化財などのテーマのもとに、さまざまな分野から光をあてています。

 島根大学法文学部のある松江の地は、歴史・文化が息づき、それが現代の生活と調和する町です。暮らしやすく、落ち着いた雰囲気のなかで、学生、教員は、多様な知識や価値、考え方に出会いながら、さまざまな問題意識を共有し、ともに人、文化、社会、地域についての理解を深めています。一緒に考えてくださる皆さんを、島根大学法文学部は歓迎いたします。

 

法文学部長 浅田健太朗

法文学部の理念・目的

<理念>

 21世紀を迎え、社会の急速なグローバル化・情報化・高度化が進展し、国際関係・政治・経済・社会・文化の再編が進むとともに、近代的価値観や「知」が問い直されている。

 一方、本学が立地する山陰地方は、早くから大陸との交流が進み、古代出雲文化が発展するなど、古くからの歴史と伝統的文化を有し、豊かな自然環境に恵まれている。だが、他方では、過疎、中山間地、社会の高齢化などの諸問題が山積している。

 本学部は、人文科学、社会科学を網羅した山陰地方唯一の文科系総合学部として、こうした地域的特性を踏まえ、現代社会や地域社会が抱える諸課題に対応した先端的研究及び学際的総合的研究を推進する。 同時に、現代社会や地域社会が抱えるさまざまな問題を解決することのできる広い教養と基礎的専門知識を身につけ、創造的・実践的能力を有する人材を広く育成するとともに、地域社会との連携を深め、地域のシンクタンク、文化の中心として地域社会に貢献する。

<教育・研究の目標>

  1. 先端的研究および学際的総合的研究の推進
    高度な研究の推進は、地方の国立大学法人としての重要な研究・教育機能を果たすうえでも、地域の文化の中心としての機能を果たすうえでも不可欠である。
    本学部では、各分野における理論的体系的な研究にもとづいた先端的研究を追求するとともに、文科系総合学部としてのメリットを活かしてプロジェクト研究を組織するなど、学際的総合的研究を推進する。
  2. 創造的・実践的能力を有する人の育成
    高い倫理観と豊かな教養を身につけるとともに、基礎的専門知識を有し、現代社会や地域が抱えるさまざまな問題を探求し、解決することのできる創造的・実践的能力を有する人、地域社会の中核を担いうる人を育成する。こうした目的を達成するために、各専門分野に応じたフィールド・ワークを含む体系的実践的教育を推進するとともに、小規模な地方の国立大学法人としての特性を活かして少人数教育と個別指導を強化するなど、きめ細やかな教育を推進する。
  3. 地域社会との連携の強化
    地域社会との連携を深めて地域社会の要請に積極的に応える。そのためにも、山陰研究センターを中心に地域社会が抱える諸課題を学際的総合的に研究し、その成果を地域社会に還元する。あわせて、公開授業や公開講座などをつうじて生涯学習の推進にも貢献する。
  4. 国際的に開かれた学部
    国際化が急速に進展する今日、学術・教育の国際協力は欠かせない。特に東アジアにおける国際関係は、今後一層緊密化すると考えられる。こうした状況に対応するために、留学生の受け入れと派遣、学術交流を一層積極的に推進する。 

<教育情報の公開>

  法文学部のディプロマポリシー・カリキュラムポリシー・アドミッションポリシー

法文学部の沿革

昭和24年 国立大学設置法によって松江高等学校*、島根師範学校**、島根青年師範学校***を包括して、文理学部、教育学部をもつ新制大学として発足
昭和41年 文理学部を改組し、文学科、法学科、理学科を設置
昭和53年 文理学部を改組し、法文学部、理学部を設置
昭和63年 大学院法学研究科(修士課程-法学専攻)設置
平成8年 法文学部を改組し、法学科、社会システム学科、言語文化学科を設置
平成9年 大学院法学研究科を改組し、大学院人文社会科学研究科(修士課程-法学専攻、社会システム専攻、言語文化専攻)を設置
平成16年 法文学部を改組し、法経学科、社会文化学科、言語文化学科を設置。
大学院人文社会科学研究科(修士課程-法学専攻、社会システム専攻、言語文化専攻)を改組し、修士課程-法経専攻、言語・社会文化専攻を設置。
平成29年 法文学部を改組し、法文学部、人間科学部を設置

*松江高等学校の沿革
大正9年~昭和25年廃止

**島根師範学校の沿革
島根県小学教員伝習所(明治8年)、松江師範学校(明治9年)、島根県師範学校(明治17年)、島根県尋常師範学校(明治19年)、明治31年 島根県師範学校、昭和18年 島根師範学校(昭和26年廃止)

***島根青年師範学校の沿革
島根県立実業公民学校教員養成所(昭和8年)、島根県立青年学校教員養成所(昭和9年)、島根青年師範学校(昭和19年~昭和26年廃止)