学部長便り2013年9月号 「アナグマ」が出た!

公開日 2013年09月13日

  先日大学内にメールの一斉送信があり、近くの農家でアナグマの被害が発生しているので注意してください、噛まれないようにしてください、とありました。アナグマは顎の力が強くて噛まれると危険だそうです。しかしアナグマはすでに大学構内に生息しているのです。私は、見ました。8月初旬の頃、大学で残業をしていて夜の9時過ぎに、おなかがすいたので夜食を買いに行こうと、法文棟を出たところで、道端に動物がおり、よく見るとアナグマだったのです。タヌキは構内で頻繁に目撃しますが、アナグマは初めてだったので、こりゃ珍しいと写真撮影しようとしましたが、ザザザと落ち葉をかき分けて法文棟横の溝の中に潜ってしましました。

  野生のアナグマを初めて見たのは、二十年ほど前、学生たちと美保関灯台へドライブに行った時でした。運転している学生が、「変な動物が駐車場に座っている」と叫び声をあげたので、見るとアナグマでした。その時は、さすが島根は昼間から駐車場にアナグマがいるんだ、と感心したのですが、それ以来アナグマに出会うことはありませんでした。
 アナグマは知名度が低く、学生たちもよく知らないようです。別名ムジナともいいますが、タヌキもムジナと呼ばれることがあり、タヌキとアナグマは昔から混同されていたようです。確かによく似ていますが、タヌキは食肉目イヌ科、アナグマは食肉目イタチ科で系統的にはだいぶ違う動物です。

  昨年山口大学の人文学部長さんと話をした時に、山口大学は田舎にあるので、アナグマがいっぱいいますよと言われていたのを思い出します。島根大学は総合理工学部の床下にタヌキが巣食っていますが、アナグマはいませんねえとお答えしたのですが、ついに島根大学にもアナグマが登場しました。

  しかし、なぜアナグマが大学に出没したのかについて考えをめぐらせてみるなら、アナグマたちの本来の生息地が宅地開発や道路整備などで失われているからではないかということに思い至ります。もしそうであるなら豊かな自然が残されているように見える島根大学周辺も、開発の波にあらわれ、動物たちのすみかが奪われていっていることになります。私は動物を深く愛する人間なので不憫でなりません。しかしそんな風にアナグマたちに心配の念を示しても、彼らは噛みつくだけかもしれないので、くれぐれも酔っぱらってアナグマをかまうようなことだけはするまい、と固く心にちかうのでありました。

 

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