学部長便り2016年3月号 さよなら三月

公開日 2016年03月30日

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 すっかり春になりました。冬のあいだ群れていたカラスたちも、今はペアで行動するようになりました。下の左の写真は互いに鳴きあいながら生物資源科学部1号館の上を飛び交うカラスペア。声からするとハシブトガラスのようです。

 一方右はテニスコート横の川にいたカルガモのペアです。川と言いましたが実はほとんど暗渠になっていて、大学横だけ水面が見えている溝のようなところです。

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 大学ではいろいろな小鳥と出会えます。ついでに最近見かけた鳥を紹介しておきましょう。下写真の左上、グラウンドの桜にとまっているのはジョウビタキのオス。桜の蕾も膨らんできました。その右の写真はメスですが、カップルではありません。ジョウビタキは冬鳥ですからもうすぐ居なくなるでしょう。

 下段の左側はイソヒヨドリ。以前はあまりいなかったのですが、最近よく見かけるようになりました。これは図書館横での写真。綺麗な声で囀ります。

下段右側はヒヨドリのこれはたぶんペアですね。法文横の小さな森の梢です。ヒヨドリは、ピーヨ、ピーヨと大きな声で鳴きます。

 

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      上段:ジョウビタキの雄と雌 下段:左はイソヒヨドリ、右はヒヨドリ

 

 更に最近大学で見た鳥を下の写真にもう少し。上段はアトリ。左は法文横の草むらで、右は法文中庭の楠の枝にいたのを撮りました。

 下段の左はカワラヒワで、これは法文の横の生物資源科学部の農園にいました。右はキジバトのカップルで、法文横の小さな森の木の上です。

 その他にもセキレイだの、ツグミの仲間だの、いろいろと見かけました。小鳥は、少し興味をもって見れば、身近にいろいろと見ることができます。まあ、見ていない人には、全く見えないのですけれど・・・。

 

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       上段:アトリ  下段:左はカワラヒワ、右はキジバト

 

 さて三月。学部長の任期もお終いです。吹野担当の学部長便りも最終回となりました。

 いろいろと勝手なことを書いたり、欠号を出したり、大幅に遅れたりいたしました。それはそれとして、自分なりにはある程度一貫したテーマもあったと思っています。

 これは、私の学部長任期は、大学とは何なのだろうと考えねばならなかったことが反映していると思うのです。

見ることに拘りましたが、「見る」というのは単に眼球のレンズが網膜に像を結ぶことではありません。知識や思考のフィルターを通して、世界を理解していく営みです。学問というものは、まさにそのような「見る」行為であり、学生さんには大学で学ぶことによって、この「見る」喜びに気づいて欲しいと思っています。

そう、ここで言う「見る」とは、自己を取り巻く外界、すなわち世界との関わり方のことです。この関わり方が豊かになっていくことは、「私(=あなた)」が豊かになることにほかなりません。これが大切だと思うのです。本当は裸になるようで少し恥ずかしかったのですが、そんな思いで私(=吹野)の「見る」行為について書いてまいりました。

そして更に、様々な見方を身につけることは、同時に異なる見方の存在を意識することでもあります。これが異質な他者への寛容さを育むことになります。この寛容さの育成も大学教育の大切な点だと思います。

 

「人材」という言葉があります。これは人間を使用価値から語るときの言葉です。確かに、卒業したあと、社会人としてちゃんと生きていってもらわねばならなのですが、大学が単なる人材育成機関になってしまってはいけないと思っています。

自己を豊かにし、他者に寛容である、そんな人が育っていく場が大学ではないでしょうか。現在の大学、特に文系学部を取り巻く状況の中で、そのような思いを秘めつつ、学部長便りを書いてきました。すこしは伝わりましたでしょうか。

 

 

さてさて三月。卒業の季節です。卒業生のみなさん、人として豊かな人生を送っていってください。人を大切にしてください。空を飛ぶ鳥のように自由に生きてください。

それでは、さようなら。

 

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                        社会学研究室の卒業式

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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