「キャリアプランニング」第6回を開催しました

公開日 2021年08月05日

 第6回目の「キャリアプランニング」(法文学部2年生向け専門教育科目)では、「様々な職業を知るII」として、前回に引き続き、社会で活躍している卒業生のお話をうかがいました。
 今回の講師は、西村信之氏(吾郷法律事務所)、中村怜詞氏(前:隠岐島前高等学校教諭・島根大学教育学研究科准教授)、そして三原友里氏(株式会社島根富士通)の三名です。 

 まず初めに、吾郷法律事務所弁護士の西村信之氏に、弁護士という仕事について、オンデマンド形式で講義をしていただきました。テレビドラマの影響を受けて弁護士を目指すようになったことや、大学時代に法律の勉強方法を試行錯誤したりサークル活動などに打ち込んだりしていたことなどを、面白いエピソードを交えて紹介していただきました。続いて、司法試験に合格するための勉強法や弁護士としての普段の仕事の内容(相談・訴訟・起案・接見・島根県の委員会の仕事など)を具体的に説明していただきました。弁護士という仕事の魅力は、コロナウイルスに関連した相談(居住、雇用、収入問題)などの最先端の問題に取り組めることと、社会福祉士や精神保健福祉士などの他分野とも連携しながら仕事を行えることにあるというのが西村先生のお考えです。最後に西村先生から学生に向けて投げかけられた「子曰く、これを知る者はこれを好む者に如かず、これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」という論語を引用したメッセージには、たんに弁護士という仕事にとどまらず、他のどんな仕事についても通用する実に含蓄の深い言葉だという印象を受けました。 

 次いで、島根大学大学院教育学研究科准教授の中村怜詞氏に、教育に関わる仕事の価値についてオンデマンド講義をしていただきました。中村先生は、4年前まで勤務先の島根県立隠岐島前高校で「隠岐島前高校魅力化プロジェクト」に取り組んでこられました。同校は生徒数の減少により存続の危機にありましたが、地域の課題解決型授業をカリキュラムに取り入れ、「島留学」の受け入れを行うことで、生徒たちが多様な人びとと交わりながら「自分が動くことで社会がよくなる」という実感をもてるようになったといいます。島前でしかできない教育を実践することで、島外からの生徒も増加、近年は「グローカル」に通用する人材の育成を目指し、海外との交流もおこなっています。島の教育が魅力的になれば、島への移住者が増え、それは教育が地域創生に貢献するような好循環を生み出すことに成功した証です。また「なぜ島根で学校の先生になろうと思ったのか」ということについても、お話をしていただきました。先生のお話は、自分が将来暮らしていきたい場所や職業を選ぶときの基準を改めて考える際、大いに参考になるはずです。 

 最後に、株式会社島根富士通に勤める三原友里氏にみずからの就職体験についてオンデマンド講義をしていただきました。自分の就職先について、最初から一つに決めている人はまれで、実際には、どこがいいのか、そもそも自分にはどんな仕事が向いているのかなど、なかなか決められないという人が多いのではないでしょうか。そのような人にとって、今回の三原氏のお話は大いに役に立つはずです。というのも、三原氏は公務員、一般企業、教員という三つの選択肢を全部残したままの就職活動を最後までやり切った方だからです。たった一つの職種にしぼった就職活動でも大変なのに、三つもなんて、ほんとうにそんなことができるのか、と思われるかもしれません。もちろん、三原氏の場合も、最初から最後まで順風満帆というわけにはいきませんでした。そのような困難な状況のなか、では、どうすればできるだけ失敗せずに、すべての活動をやり切ることができるのかということについて、自己の経験にもとづく具体例(自己分析、インターンシップ、企業説明会、インカレッジ、企業見学、履歴書など)を示しながら懇切丁寧に説明していただきました。就職活動においてこちらの都合を優先させるという、普通ならタブーとされるようなことについて、あるいは、複数の合格通知をもらった際の断り方についてなど、ためになるお話が続きます。そして最後に、ドラマ顔負けの思いもかけぬどんでん返しが登場するのですが、三原氏のお話を聞けば、就職活動というものは、きちんと計画を立て、その計画に従って地道に歩んでいけば、必ずそれに見合うだけの成果が得られるものだということがわかりました。

 

【受講生の感想】

・講義の中で、「弁護士になる」と志したきっかけや司法試験対策の勉強法、弁護士の仕事内容など、様々なことについて丁寧に説明してくださり、ありがとうございました。特に司法試験対策の勉強法は、私自身も刑法や民法など様々な法律について学んでいるので、日々の学習方法として非常に参考になる点が多かったです。日々の仕事内容についてもかなり詳細な部分まで丁寧に説明してくださり、非常に分かりやすかったです。弁護士の仕事内容についてほとんど知識がなかったので、初めて学ぶことが多く非常に良い経験になりました。仕事のやりがいについても丁寧に説明してくださり、ありがとうございました。今回、お話してくださったこと自分の将来のために生かしていけたらな、と思います。お忙しい中、このような講義の機会を設けてくださり、ありがとうございました。 

・試験のための勉強方法などの説明のところで、実際に使っていたノートが出てきて、非常に熱心に勉強されたのだなと思いました。弁護士という職のやりがいを感じながら仕事をすることができているということは、とても良いことなのだなと思いました。やはり、自分が目指した職業に就くまでは困難なことや苦しいこともあるかもしれませんが、それを乗り越えた後でさらにその仕事にやりがいを感じられるということがとても大切なことなのかなという風に思いました。 

・弁護士という、普段生活していて話を聞く機会が無い職業の、日々の仕事内容が分かった。野球大会があるということは初めて知り、意外だと思った。過去問を解いたり模試を受けたりすることは、試験のあるどのような職業でも必要になるのだなと思った。お話の中で紹介されていた本をいつか読んでみたい。今勉強している学問を単に知るだけではなく、将来仕事にいかして楽しめるようにすると良い、という言葉を聞き、確かにそうだと思った。日々の授業をなんとなく受けるのではなく、将来を見据えながら受けようと改めて思った。

 

 

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