本学の松尾壽名誉教授が『近世後期隠岐嶋流人の研究』を刊行しました

公開日 2021年10月26日


 松尾壽(ひさし)本学名誉教授(1971年・文理学部歴史学教室着任、1997年・法文学部教授として定年退職。日本近世史)は、在職期間を中心に近世隠岐流人の歴史的研究に取り組んでいましたが、このほどその成果をとりまとめて、『近世後期隠岐嶋流人の研究』(清文堂出版)として刊行しました。

 同書「はじめに」では、但馬出石藩士の息子で、寛政9年(1797)に流罪になった西条左衛門の京都から隠岐島前・知夫里島までの行程が、左衛門自身が書きのこした「隠岐国行船中日記」によって紹介されています。続く本論は、「第一部 近世後期隠岐嶋流人の罪と罰」「第二部 隠岐流人の生涯と生活」の11章で構成され、最後に「補論」(史料紹介2章)が付されています。

 本書は、「遠島(流罪)」に関する厳密な法制史的研究を基礎として、143人に及ぶ流人の「科口書」(各流人の隠岐到着時の供述調書)を中心とした隠岐島前・島後に伝えられている古文書、博奕・傷害などの犯罪や、百姓一揆の主導、大塩平八郎の乱への参加などで流罪となったそれぞれの流人の元の居住地域で調査した史料等をもとに、「遠島」という幕藩法制では死罪に次ぐ重い刑罰と、それに処せられた江戸時代の市井に生きた庶民男女の罪と罰、生活の実態と隠岐での生涯と哀感までが活写されています。

 また、本書冒頭には、小林准士法文学部教授による「『近世後期隠岐嶋流人の研究』に寄せて」が載せられており、本書の研究史上の位置を確認していただけます。

 本書は、島根大学附属図書館のほか、島根県立図書館・松江市立図書館、隠岐島内の各図書館で閲覧していただけます。

 

『近世後期隠岐嶋流人の研究』 

 

 

問い合わせ先

法文学部

電話番号:0852-32-6111