「キャリアプランニング」第2回を開講しました

公開日 2022年12月02日


■授業の紹介

 法文学部2年生向け専門教育科目「キャリアプランニング」の第2回目の授業は、昨年に引き続きオンデマンド形式で実施されました。今回の授業では、哲学を専門とする田中一馬先生が「働くとはどういうことなのか?」というテーマで講義をおこないました。

 就職に関する講座は、その性格上、どうしても実務的な話が多くなりがちですが、今回のお話は働くということを、そういった実務的なものとはまったく異なった哲学的・歴史的観点から概観し、働くことの意味について、自分自身で改めて考えてみようというものです。一口に「仕事」といっても、過去と現代では、そのものに対する考え方がかなり違います。授業では、まず古代ギリシアの仕事観(ヘシオドスやアリストテレス)、次いで近代の仕事観(プロテスタンティズムやアダム・スミスの労働価値説など)を紹介したうえで、最後に「近・現代における仕事(人間の活動)の労働化」という今村仁司の考え方が提示されました。わたしたちが人間のある活動を見た時に、それを「仕事」だと思うのはなぜなのか。仕事観の歴史的変遷を知ると、その理由が明らかになってきます。現代の人びとは「価値あるものや事態を生み出す身体的・精神的活動」を「仕事」と考える傾向があります。この考え方には、一方では程度の差こそあれ、価値を生み出すものであれば、どんな労働でも仕事だと見なされるという、いわゆる「仕事に貴賎なし」という意識を広めるプラスの側面があります。しかしもう一方では、ものや事態の価値を労働とそれに見合うとされる金銭でしか測れなくなってしまうという負の側面もあります。そうした考え方がわたしたちにとってどのような意味を持つのか、今後のみずからの人生における仕事の位置づけ方とともに、今一度ゆっくり考えてみてもよいのではないか、という先生から学生へ向けたメッセージとともに授業が締めくくられました。

 今回のオンデマンド授業では、授業全体を四分割した音声ファイルとともに、スライドと資料のPDFファイルが提供されました。受講生は、これらのファイルを用いて、田中先生の説明を聴きながらスライドや資料を確認していくという形で受講しました。


■受講した学生の感想

 今回の講義での発見としては、仕事観が歴史上において移り変わっているという点である。(中略)こういったことを本講義で知り、今現在の私及び社会の仕事観がこの先変わる可能性は否定でき得ないことから、仕事に対して「労働」というイメージを強く持たなくてもいいのではないかと感じた。「神様が私たちに課したもの」と、もし自身がそう捉えられたならば、仕事に対するマイナスなイメージも少なくなるのではないかと感じる。

 「仕事に貴賎なし」ということばの背景が知れてよかったです。大学生のうちに仕事について考え、じぶんの考えを出したいです。

 「仕事観」について考えるいい機会になりました。自分の中での「仕事観」を改めて見つめなおすことができ、更には別の「仕事観」も知ったことで、人間にとって働くとはどういうことなのか、何を以て「仕事」とするのかを自分なりに考えることができました。

 今回の講義は、改めて働くということについて考えるきっかけになりました。働く、また、仕事をすることは生きていくために必要なことだと考えていましたが、仕事観について考えることは初めてで新鮮でした。自分にとって仕事とは何なのか、過去の人々の主張を参考に、しっかり考えてみようと思います。

 自分の仕事観について深く考えることができました。こんなに「仕事とは?」「働くとは?」と考えたのは初めてでした。働くときには対価ばかりに気を取られていましたが、それだけがすべてでないと感じるようになりました。

 

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