学部長便り2010年10月号

公開日 2012年09月03日

「学部長、鹿に噛まれる」の巻

 
長い長い夏休みも終わりを迎え、ようやく季節も秋めいてまいりました。大学では夏の終わりの9月あたりに、部活動の合宿や研修旅行などが集中するようです。私も、この9月にゼミのキャンプと研究室での研修旅行の2つを行いました。

今年の研修旅行はバスを借り切っての奈良のお寺巡りでした。毎年学生が旅行先を決定し、旅館やバス会社と交渉し、旅行のスケジュールを決め、パンフレットを作成し、夜の飲み会用の酒とつまみの買い出しに行き、学生支援課からクーラーボックスを借り、と全ての準備を行ってくれます。準備だけではありません。当日の人数点呼、拝観料の支払い、宴会の準備と進行、お金の徴収など、まさに観光ツァーの添乗員のような八面六臂(この四字熟語の読み方が分からない人はさっそく辞書で調べてみましょう)の大活躍をしてくれなす。教員は、ただただ素直に指示に従うだけでよいので、とても楽であります。普段はおとなしいくせに、こういうイベントになると俄然才能を発揮する学生が毎年いるのも面白いことです。

旅館は、「安い」「貸し切り状態にできる」「酒の持ち込み可」「遅くまで飲み会をしてよい」というのが必須条件となっており、なかなか探すのが大変なのですが、今年は幹事の手腕が見事で、猿沢の池の近くという奈良中心部の素敵な民宿に宿泊することができました。奈良の寺院や神社や博物館さらには明日香に足をのばして古墳見学などもしたのですが、個人的には、奈良と言えばやはりシカですね。私は動物をさわるのが大好きなので、シカをなでたり、突っついたりして時を忘れました。特にシッポや蹄はどういう作りになっているのかをじっくり観察することができましたが、さすがにシカも迷惑なのでしょう、2回ほどガブリと噛まれましたね。結構痛いのですよ。
明日香を訪れた時のことです。明日香は田園地帯で、その風景は古き日本の原風景であり、さらにそれは朝鮮半島とも相通じるものがある、などという解説を事前に読んでいたわけです。しかし実際に訪れてみて驚いてしまいました。実は松江の郊外とそっくりだったからです。学生も一様に「これは島根だ」と口にしておりました。ということは、やはり島根は日本の原風景をとどめているのでしょうか。遠い土地を訪れながら、意外に地元を再発見する旅行となりました。