学部長便り2011年4月号

公開日 2012年09月04日

4月号「地震」と「大学」

今回は何よりもまず。先般の東北関東大地震で被害を受けた方々にお見舞いを申し上げなければなりません。マスコミで報道されている以上に、さまざまな困難が生じていることと思われますが、無力ではあることを知りつつも、個人としてのみならず、島根大学そして島根大学法文学部としても、出来る限りの支援を始めたところです。

全国の地方国立大学の人文系学部長で構成された「人文系17大学学部長会議」という組織があります。その組織が、地震直後に東北関東地方の大学に連絡をとりましたが、各大学とも大変な状況になっています。福島大学や茨城大学はしばらくの間、大学のホームページもダウンし連絡がとれない状態でした。さまざまな大学で、建物や設備が被害を受けているようですが、何より学生や教職員の安否が、まだ確認できないという大学もあるようです。4月からの授業をどうするのか、被災した学生をどう支援してゆくのかなど解決すべき課題の対応で大変なことと拝察いたします。大学にとって最も大切なもの、守らなければならないものは学生です。学生支援という側面で、島根大学としても要請があれば対応していくつもりです。

島根大学にも、少ないながら東北・北関東出身の学生が在籍しており、全員の無事が確認されました。ただ法文学部に所属する宮城県の学生に話を聞いたところ、実家や家族は無事だったが、父親の勤務先の会社が津波で流されてしまい、職を失うかもしれないとのこと。本人も来年卒業したら、復興を手助けするような職業につきたいと話しておりました。その学生の表情が明るかったことが幸いです。

今回の災害に鑑みて私はあらためて「大学」の意味を考えさせられました。大学は教育機関であり研究機関であり地域の拠点でもある。緊急時には避難場所になることもある。災害時において、そして災害後の復興に向けて、さらに新たなる災害に備えて、大学はどのように機能すべきか。それを考え、語りあうことが重要となるでしょう。

島根ではようやく春の兆しが見え始めました。せめて季節だけでも、暖かく過ごしやすい気候となり、おだやかな陽差しが東北にも降り注ぐことを祈ってやみません。