学部長便り2012年2月号

公開日 2012年09月04日

2月号 「雪だるま」と「路上スケート」

 去年ほどではないにせよ、今年も松江は雪の日が続いています。地球温暖化といいながらも、松江では十年前に比べると雪が多くなったような気もします。雪が積もったキャンパスでは、今年も誰かが雪だるまをこしらえたようです。不思議なもので、毎年雪が降ると夜中の間に誰かが雪だるまを製作するのですが、これがなかなか出来栄えがいいのです。大学生の作る雪だるまは、さすがに小学生のものとは一味違います。今年は、雪だるまというより「雪人間」と言った方がいいのかもしれませんが、学生食堂前のベンチに腰掛けておりました。両足で地面を踏みしめ、ベンチの背もたれに手まで回しています。通りすがりの学生たちも立ち止まって写真を撮るほどの出来栄えです。

 数日後、学生研究室に女子学生三人が息をきらして入って来ました。聞けば、法文学部玄関脇の草むらに半時間ほどかけて雪だるまを作ってきたとのことでした。「イケメン雪だるま」にしたと言うので、さっそく見に行ったところ、イケメンはどうかはさておき、確かに三つの雪だるま(うち一つはイヌ)が鎮座していました。各自で一個ずつ作ったわけです。しばらくは融けずにがんばっていました。

 しかし、雪が降ったから雪だるまを作るというのは、単純であるがゆえに素晴らしいことだと思いますね。私などは神戸で生まれ育ったので、小さい時に雪だるまを作ったのは小学四年生の時だけでした。その日はめったにない大雪だったので、先生が授業中をやめてクラスで校庭に出ました。そして生まれて初めての雪合戦をし、生まれて初めて雪だるまを作ったのです。翌日起きてみると手が霜焼けでふくれていたことを覚えています。雪が降らない地方では雪だるまは作れない。豪雪地帯では雪だるまを作る気にならない。だから、雪が降ったから雪だるまを作るというのは、適度に雪の降る土地に与えられた楽しみの一つなのです。

 積もった雪の中をザクザク歩く。雪を靴底に感じながら歩く。これなどはいいものですが、凍結はいけません。夜中に酔っぱらって帰宅することの多い私には、凍りついた路面ほど恐ろしいものはありません。昨年のことです。大学裏門の道が歩道も車道も一面に凍りついて夜目にもピカピカ光っておりました。まあ夜中の三時頃に歩いている方が悪いのですが、酔っぱらいながらもさすがにこれは危険だと察知しました。一歩踏み出すと、スケート靴をはいているようにスーッと足が滑ります。腰を落としてスーッ、スーッと滑ってゆきます。スーッ、スーッ、そして転倒。結局五十メートルほど進むのに三回転びました。

 もうすぐ雪の季節は終わります。あとは受験生の皆さんが困らないように、試験当日だけは晴れてくれるよう願いましょう。そういう時もテルテル坊主吊すのかなあ。

 

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