学部長便り2012年5月号

公開日 2012年09月04日

 図書館が引っ越しだ

  今年の秋から大学図書館の改修工事が始まります。しばらく図書館が使えないので不便になるでしょうが、来年からピカピカの図書館になるわけですから耐えることにしましょう。しかし、図書館の蔵書を工事の間引っ越しさせなければならないので大変です。段ボールに詰め込む作業を考えただけでも気が遠くなります。いったい何箱詰めればいいのでしょうか。作業にあたる図書館職員の方に心からねぎらいの思いを届けます。

 私も学生の頃から本をたくさん持っていました。そのためアパートは1階にしか住めませんでした。本の重みで2階以上の入居は、まず大家さんに断られます。また本を並べるためには本部屋を1部屋必要とするため、間取りは最低2間以上あることも条件でした。そのくせ金は無いのですから、おのずとボロボロのアパートしか見つかりません。最初に住んだのは、木造で築数十年、日当たり無しというすさまじいアパートでした。毎朝目覚めると、布団を敷いている畳からキノコがひょろりと生えているのです。夏は猛烈な暑さと湿気、冬は底冷えのする寒さです。家の前は神社の森で、そこにはたくさんのノラ猫が生息しています。深夜には猫の集会があり、窓を開けていると家の中にも平気で入って来ていました。私の方も家の中に洗濯物を干しても乾かないので、神社に勝手に物干しを仮設していたので、家の中も外もあったものではありません。家の裏側は、現代風に言うとベランダになるのでしょうが、裏の家との距離が20cmほどしかないので全く意味はなく、しかしどんなに痩せた泥棒でも通れないので、窓を開けっ放しでも平気でした。出入りするのは猫どもだけです。

 約2年間そこで生活しましたが、次のもう少し上等のアパートに引っ越す時に荷造りをしたところ、本だけで段ボール120箱ありました。荷造りと言っても家財道具はそんなに無いので、毎日毎日本を詰め込んでいた記憶だけあります。その後島根大学に就職して、松江に引っ越した時が250箱。この時は、貴重な古書をたくさん買っていたので、1冊1冊厳重に梱包しなければならず、膨大な時間を費やして箱詰めしました。本を愛しているとは言え、もう引っ越しはいやですね。詰めるのも大変だし、運ぶのも大変だし、荷を解いて本棚に並べるのも大変なのです。

 大学図書館が利用できなくなるので、どんな本をあらかじめ借りでおこうかということを学生達と相談中です。卒論や修論を書く学生には死活問題だからです。でも、何だかものすごい冊数になりそうなんですよね。またたくさんの本を運ばないといけないかもしれません。しかし今回は、学生達を奴隷のようにこき使って運搬させようと考えています。

  私は煎餅でも齧りながら見てることにしましょう。

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