学部長便り2012年10月号

公開日 2012年12月25日

シーサと基地

 いよいよ後期が始まり、学園祭も無事終了し、大学キャンパスは活気にあふれた毎日が続いています。夏期休暇中の閑静な大学もよいのですが、騒然とした大学もまた大学らしくていいものです。

 さて、私は10月初めに毎年恒例の「全国17大学人文系学部長会議」に参加してきました。今年の開催地は沖縄です。実は現在、琉球大学法文学部と島根大学法文学部の間で、ある相談をすすめており、沖縄訪問は今年2回目です。沖縄に出張に行くと言うと、学生達はこぞって「うらやましい」と言うのですが、仕事で行っているので2回出張したわりに、ほとんど沖縄を見ることはできていません。

 ただ驚いたのは、沖縄はあの有名なシーサだらけであるという事実です。琉球大学は、とても大きなキャンパスで緑も豊かに残されています。その広い敷地のところどころに建物があるのですが、すべての建物に複数体のシーサが据えられているのです。法文学部棟も玄関付近に鎮座しているばかりではなく、眼をあげると、建物壁面に台が突き出ており、そこに巨大なシーサが載せられているのです。わざわざ建物に「シーサ載せ台」とでも言うべきものを取り付けているわけですね。文部科学省がよく認可したななどと余計な詮索もしましたが、琉球大学の方にたずねてみたところ、全ての建物にシーサを取り付けなければならないそうで、琉球大学のあらゆる建物には「シーサ載せ台」が設置されているとのことでした。

 もうひとつ驚いたのは、沖縄では商店が遅くなっても営業しているということです。松江では夕方の6時や7時になると店じまいしてしまうのですが、沖縄では夜の10時でも煌々と灯りがともっています。飲食店に限ったことではありません。失礼ながら、あまりお客さんが来るとも思えないような小さなお店でも深夜営業しているのです。これも地元の方にうかがったところ、それが当たり前だということで、店によっては明け方まで開いているのも多いということでした。私は夜の10時前後にホテルを抜け出して那覇市内をウロウロしてみたのですが、人もたくさん歩いているし、賑やかでありました。

 仕事で出張しているので、特に観光をしたいとは思っていませんでしたが、唯一沖縄の米軍基地を近くで見てみたいとは考えていました。どのように広いのか、どのように民家に近いのか。それらは映像ではなかなか分からないからです。人文系学部長会議の冒頭に琉球大学の学長が挨拶をされました。歓迎の意を述べたスピーチの最後で、「ご存じのように沖縄にオスプレイが配備されました。さっそく私も昨日実物を見ました」と発言されたことが印象的でした。ただ残念ながら時間の関係で、基地を実見することすらかないませんでした。