学部長便り2014年8月号 普通にネコが歩いている社会

公開日 2014年08月05日

 3年計画で、「性別役割規範システムの国際比較研究」というのに取り組んでいます。その研究打合せで、この文章を書いているちょうど今、アメリカとトルコの研究者に来てもらっています。写真は、彼女たちが島大生にインタビューを行っているところです。左がフロリダ大学のターニャ先生、右がアンカラにあるハジェテペ大学のゼイネップ先生です。英語の上級クラスの学生さん達でしたので、日本人の考え方を英語でちゃんと説明していました。

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  この研究の関係で、一昨年、去年とトルコを訪問する機会がありました。土産話は多々あるですが、今月は、トルコのネコの話をしてみましょう。
 とにかくネコがやたらと街を歩いています。下の写真のように、商店街をオバチャンもネコも歩くのが当たり前なのです。

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 このネコたちは、何者かというと、どうもあちらこちらで餌を貰いながら自由気ままに暮らしているネコたちのようです。下の写真、左はお土産物屋さんの軒先で食事中、右は広場で通行人にもらった餌を食べているところです。もちろん決まった家がある飼い猫も歩き回っていると思うのですが、多くは街路を家として何ヶ所もの餌場を巡りながら生きているように見えました。

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 もちろん、ゴミ捨て場だって荒らすのですが、さして気にもされていないようです。道ばたの古本屋の商品の上で寝ていても、お客さんもお店の人も居て当然といった様子です。ネコたちも、人間のことを全く怖がったりしていません。

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 このようなネコたちを見ていると、社会の在り方の大きな違いを感じてしまいます。日本でも、昔はお魚を加えたドラ猫をサザエさんが追いかけたりしていたものですが、最近は野良猫の数が大幅に減っている気がします。そして、野良猫たちは人間が近づくと怯えたように逃げてしまいます。
 日本でも、ほんの10数年前までは野良猫に餌をやっても何の問題でも無かったのですが、最近では反社会的な行動とみなされるようになってしまいました。その同じ時期に日本社会の雑多なものに対する不寛容性が高まってきている気もするのですが、両者の間に関係はないのでしょうか。
 いずれにせよ、社会の在り方の違いや変化は、ネコからでも見えてくるように思います。
 私はネコ好きなので、いつでもどこでも撫でさせてくれるネコがいる社会がいいなと思うのでした。

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