学部長便り2018年11月号  文楽11月公演

公開日 2018年11月26日

 

1117日、18日、私の授業を受講する学生たちとともに、国立文楽劇場(大阪)を訪れました。

本年8月号でもご報告した通り、夏には、私のゼミ(4回生)グループで、同じく国立文楽劇場を訪れ研修を行いましたが、今回は「文楽11月公演」に合わせて、3回生・留学生も一緒に、中型バスを借りて少し大所帯で出掛けました。

今回も桐竹紋臣さん、紋秀さん、紋吉さんに、人形の実演と講義をしていただきました。一体の人形を三人で動かす「三人遣い」の方法についてお話し下さいました。初めて参加した学生は、長い伝統の中で作り上げられた技に驚嘆の連続です。また2回目3回目の参加者にとっても、新たに気付くことの多い、とても内容の濃いお話を伺いました。
そのあとすぐ舞台に上がる人形を使ってお話し下さり、しかも私たちにも実際に持たせて下さいました。一同感謝の気持ちでいっぱいです。

学生たちは3人組で「三人遣い」に挑戦しました。最初はなかなか形が整いません。しかし、手の向き、足の位置など、紋臣さんのご指導を受けていくうちに、きちんとした人間の形になっていくのを見て、はっとしました。

また、開演前の舞台裏も見学させていただきました。文楽独特の、床を低く掘り込んだ形の、「船底」と呼ばれる舞台、大道具、小道具など、劇を根底から支えている一つ一つを見せていただきました。
紋吉さんが、「劇の最中、人形の使う持ち物などは、入って間もない若手の人形遣いの人が黒衣を着て運んだり渡したりします。そうして、この作品のこの場面このタイミングでこの道具を使うといったことを覚えていくのです」と教えて下さいました。
単に若手だから働くというようなことではない。そうすることで将来に向けての勉強になるからそうしている、ということなのですね。こういう考え方は、演劇のみならず、世の中のあらゆる人の営みに適用可能なものではないでしょうか。本当に、文楽では、理に適った考え方が隅々まで行き渡って実現されていると、改めて感じました。

この度も卒業生の永田まち子さんにお世話になり、また名誉教授の芦田耕一先生も駆け付けて下さいました。そして私のゼミの卒業生たちも遠路集まり一緒に参加してくれました。
2日間かけて、今回上演されるプログラムのすべてを鑑賞しました。参加した学生からは、「人形が本当の人間に見えるとはこういうことだと実感しました」、「太夫の語り、三味線も併せて、今まで映像音声だけで知っていたのとは違う本物の文楽に触れることができました」といった感想が聞かれました。


  文楽人形に関する実演と講義

 
            三人遣いを体験する

 
                      開演前の舞台裏にて


 人形遣いの舞台下駄。
 これを履いて演じるのは難しそう。

 

 

    

 

 

 

 
 

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