学部長便り2019年1月号  センター試験と卒業論文

公開日 2019年01月28日

119日(土)と20日(日)、全国で大学入試センター試験が行われ、私たちの島根大学松江キャンパスも試験場となりました。今年は雪の心配もなく、平穏な中での試験でした。

受験生たちは、2日とも長時間にわたる試験に挑むわけですから、本当に大変です。私自身も1980年代の共通一次世代ですので、このことはわかります。
以前に学部の入試委員長を務めていた時、高校の進路指導の先生から、「高校生たちはセンター試験に向かっていく中で大きく伸びるのです」というお話を聞きました。
センター試験は、それ自体は試験です。ただその意味はもっと拡がりを持っているように思えます。試験に向けて全力で頑張る、少々無理をしてしまうこともある。その全力で頑張る局面で初めて習得できる力というものがあると思います。そして頑張り抜いた後に顧みれば、自分で自分の成長が実感できることもあります。ここで得られるのは、学力はもちろん、持続力、忍耐力、自己を律していく能力、達成の喜びなど、測り知れません。家族に支えられ、友だちと支え合っていることを実感する時でもあります。

ところで、大学の在学生のほうに目を移すと、ちょうどセンター試験の翌日の21日(月)が、法文学部では卒業論文の提出日でした。こちらは大学の最終学年の人たちの、卒業をかけての大仕事です。私もゼミ生たちと毎日議論しながら、提出直前まで指導しました。

私たちの人文科学では、どれだけ資料を探索して、精緻に分析し、深く思考できるかが問われます。改めて考えてみると、今回卒論を提出した人たちの多くは、ちょうど4年前の今頃センター試験を受けていたわけです。卒論に向かう学生たちと共に過ごしていて、何かそこに、4年前から連続しているものがあるように感じました。基礎的学力はもちろんですが、丹念に調べ、辛抱強く読み解き、どこまでも考え抜く、そういう営みのできる力の基盤は、大学に入る前に培われていて、あと入学後にそれをどれだけ伸ばせるかということではないのかと。

卒論は本当に大仕事です。今までもいろいろなことがありました。最後の数日間、仮眠をとりながら24時間体制で頑張った人もいました。製本に手間取って締め切り時刻の直前に、私も付き添って提出窓口まで走ったことも。パソコンに保存していた論文のデータが急に壊れて、真っ青になって私の研究室に来た人もいました。そのあと、友だちが寄り集まって修復作業を助けてくれたそうです。限りない数のドラマがあります。これが卒論の季節です。

   
法文学部棟前はすっかり真冬の景色です  でも、木々はもう春の準備をしています

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