学部長便り2019年3月号  卒業おめでとう

公開日 2019年04月01日

 

322日、卒業式(学位授与式)が行われました。私も、法文学部卒業生たちと一緒に起立し、総代が学位記を受け取るのを見守りました。

卒業式には独特の雰囲気というものがあると感じます。それは、ある課程の学業を成就したという括りとしての意味と、それによってもたらされる新たな門出という意味の両方を併せ持つところから生まれるものであるように思います。

社会の側からは人材養成と言いますが、私は、もう少し学生一人一人の視点に立って、人間形成という言い方をしたいと思っています。大学は、学問によって人間形成をする場であると思います。
学部、学科、コースにより、またその中の個々人により、専門とする学問の内容は異なるけれど、それぞれ、そこに自分のすべてを投じて、時に苦しみ時に喜びを見出しながら、最終的に何かをつかみ取る、そういう学生生活であったと思います。そのことを通じて得た自信が各人の顔に見て取れる。それが、教師として、卒業式の日に卒業生と向き合える大きな喜びです。

この冬は暖かく、卒業式の頃に桜が咲くのではとも思いましたが、むしろ3月に入ってから冷え込む日が多く、公園などの桜の見頃まではもう少しかかりそうです。いま、私の家の近所では鶯が頑張っています。ここは『出雲国風土記』の頃から鶯の棲みかとされていた所だけあって、美声の主が揃っています。
鶯は、古来和歌でも梅と対にして詠まれることから、春のごく初めだけが出番のように思われているかもしれませんが、実は夏の盛りに至るまで鳴き続けます。
最初は少したどたどしいのですが、毎日鳴き続けていると次第に磨きがかかり、やがて立派な声になっていきます。冬の間は藪の陰に隠れて力を養い、一旦表の世界に出ると日々精進して力をつけていくように思えます。

卒業式の感慨のあと、鶯の声を聞きながら思い入れをしているこの頃です。

  
山桜が花を付け始めました。本格的な春の訪れももうすぐ。

 

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